2010/05/01

教育デザイン


80 lectures / denn


昨年度からミニッツペーパー(出席カード)を自作し始めたことで、自分自身で毎回の授業工程を振り返る習慣が付いた。講義の指導計画を立て、実践し、振り返る(PDC)ことまでは、ひと手間加えれば何とかできる。
前年度の指導計画書(と記録メモ)が手元に残ってさえいれば、(記憶ではなく!)記録から講義を再生することは、ある程度まで可能なのである。ただし、私はロボットや再生装置ではないので、受講学生との距離感によって、発問や雑談といった相互作用に応じて講義の進行は絶えず揺動している。

では、前年度の記録から講義ノートを更新し、よりよい講義を組み立て直していくためにはどうすればよいのか。教師の暗黙知を明文化・構造化し、良いものと悪いものを取捨選択する有効な手だてはあるのか。
シラバスの「名目上の」アップデートから脱却して、PDCAサイクルの成果としての講義計画書をつくりこまなければならないと考える。

工学(インストラクショナル・デザイン)の観点から、教育デザインをとらえた「教育デザイン入門」を書店で手に取った。2007年11月の刊行だが、理念目的の設定、教育分析、設計と実施、評価とフィードバックまで書かれた第一部は、確かな処方箋のひとつを与えてくれる。
また、巻末資料には、FDにおける教師のティーチング(ラーニング)ポートフォリオのようなスキルチェックシートがある。教育デザインをFDの課程にまで適用した成果物であり、PDCAサイクルの"A"に対応する解のひとつに出会えた。