2013/12/25

1/8セミナーご案内:第3回若手教員授業研究会

大学コンソーシアム石川
第3回若手教員授業研究会

日時:2014年1月8日(水)18時30分~20時30分 (18:00受付開始)
場所:金沢大学サテライト・プラザ 2階講義室

趣旨:今日の大学と教育を取り巻く状況のもとで、教育実践を日々積み重ねられていることと思います。加えて、教育活動に関する能力開発をめざすファカルティ・ディベロップメント(FD)活動の努力義務化、実施義務化を契機のひとつとして、私たちは教育能力の開発のために様々な情報を得ることができるようになってきました。
ところが、大学教育に関わるようになって10年以内の教員のフォローアップと手を取り合っての連携が、まだまだ私たち自身に必要ではないでしょうか。学生のことも授業のこともさらに学び、教育・研究に携わる者としての教育哲学・研究哲学を研鑽し成長を続けることが求められています。特に、授業をどうするのかに焦点をあて、大学の枠を超えて教育学・学習科学・専門分野の知恵を持ち寄り、語り合い学び合う「場」が、私たちの教育力の支えになればと願います。
詳細:http://ks-edu.w3.kanazawa-u.ac.jp/wakate/

2013/11/26

12/4セミナーご案内:第2回若手教員授業研究会

大学コンソーシアム石川
第2回若手教員授業研究会

日時:2013年12月4日(水)18時30分~20時30分 (18:00受付開始)
場所:金沢大学サテライト・プラザ 2階講義室

趣旨:FD研修等を通じて教育能力の開発のために様々な情報を得ることができますが、大学教育に関わるようになって10年以内の教員のフォローアップと手を取り合っての連携が、まだまだ必要ではないでしょうか。学生のことも授業のこともさらに学び、教育・研究に携わる者としての教育哲学・研究哲学を研鑽し成長を続けることが求められています。特に、授業をどうするのかについて、大学の枠を超えて教育学・学習科学・専門分野の知恵を持ち寄り、語り合い学び合う「場」が、私たちの教育力の支えになればと願います。
詳細:http://ks-edu.w3.kanazawa-u.ac.jp/wakate/

2013/11/25

11/29セミナーご案内:大学教育の現状~複数の大学を経験して~

e教育サロン第2回シンポジウム https://www.facebook.com/edusalon
大学教育の現状 ~複数の大学を経験して~

日時:2013年11月29日(金)13時30分~17時30分
場所:金沢大学総合メディア基盤センター2階 プレゼンテーション室

○基調講演「金沢大学に期待するもの」  
[講師]金川克子先生(いしかわ在宅支援ねっと理事長、神戸市看護大学前学長、石川県立看護大学初代学長) 
 大学の役割は教育・研究・地域貢献・学内運営、と言われていますが、国公私立では違いがあると思われます。金沢大学は石川県の唯一の国立大学であり、総合大学としてまずは県内の大学をリ−ドし、県民の誇りとする大学であってほしいと思います。  角間に移転した後、足を運ぶことが少なくなりましたが、広大な敷地を有しており、多様な建造物の増加や活動が活発にできるとことと思いますが、やや不便さも感じています。いくつかの大学に触れる中で、金沢大学に期待したいことを、一市民として述べてみたいと思います。

 ○パネルディスカッション:「大学教育の現状 ~複数の大学を経験して~」
[パネリスト]
・猪部学先生(金沢大学医薬保健研究域、前北海道大学)
・海野進先生(金沢大学理工研究域、前静岡大学)
・杉森公一先生(金沢大学大学教育開発・支援センター、前金城大学)
・本間学先生(金沢大学人間社会研究域、前帝塚山大学)
[モデレーター] 鈴木健之先生(元金沢大学)

詳細:https://www.facebook.com/events/227730644052393/

2013/11/21

11/22セミナーご案内:クリティカルシンキングの評価と育成

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第13回評価システム研究会

日時:2013年11月22日(金)16時30分~18時00分
場所:金沢大学角間キャンパス・総合教育1号館2階大会議室
題目:クリティカルシンキングの評価と育成
講師:久保田祐歌 (愛知教育大学 教育創造開発機構 大学教育研究センター 研究員)

趣旨:大学生のクリティカルシンキングを評価するための標準テスト(主に米国で開発)を紹介する。テストで評価される「クリティカルシンキング」の内容と共に、その育成方法にも言及する。

2013/11/05

Trow model revisited トロウ・モデル再考

文部科学省から平成25年度学校基本調査の速報が公表されている。

高等学校卒業者の進学率は、

1)大学・短大進学率(現役)   53.2%
2)大学(学部)進学率(現役) 47.4%
3)専門学校進学率(現役)    17.0%
4)大学・短大進学率(過年度卒含む)  55.1%
5)大学(学部)進学率(過年度卒含む) 49.9%
6)高等教育機関進学率(過年度卒含む) 77.9%

と、依然高い進学比率を維持している。後戻りすることは、しばらく無いだろうし、小中高大接続の議論は、社会との接続問題として整理する必要がある。

マーティン・トロウが予言し、喜多村和之が整理した「トロウ=喜多村・モデル※」が、今日の時代そのものであることに驚く。該当する社会(例)の項目のみ、ユニバーサル・アクセス型に移す修正を施した。他の諸国についても、2013年段階では移動があると思われるので、随時修正する。

赤字は、筆者によるものだが、トロウの予言は概ね実現されたと考えるし、さらにその先の「ユニバーサル・アテンダンス」の状況を見通した教育活動が必要であろう。


※トロウ・モデル
http://benesse.jp/berd/center/open/report/yamamoto/2002/iituka_04_02.html

M.トロウによる高等教育システムの段階的移行に伴う変化の図式
高等教育システムの段階
エリート型        →
マス型         →
ユニバーサル・アクセス型
全体規模(該当年齢人口に占める大学在籍率)15%まで15%~50%まで50%以上
該当する社会(例)イギリス・多くの西欧諸国日本・カナダ・スウェーデン等アメリカ合衆国・日本
高等教育の機会少数者の特権相対的多数者の権利万人の義務
大学進学の要件制約的(家柄や才能)準制約的(一定の制度化された資格)開放的(個人の選択意思
高等教育の目的観人間形成・社会化知識・技能の伝達新しい広い経験の提供
高等教育の主要機能エリート・支配階級の精神や性格の形成専門分化したエリート養成+社会の指導者層の育成産業社会に適応しうる全国民の育成
教育課程(カリキュラム)高度に構造化(剛構造的)構造化+弾力化(柔構造的)非構造的(段階的学習方式の崩壊
主要な教育方法・手段個人指導・師弟関係重視のチューター制・ゼミナール制非個別的な多人数講義+補助的ゼミ,パートタイム型・サンドイッチ型コース通信・TV・コンピュータ・教育機器等の活用
学生の進学・就学パターン中等教育修了後ストレートに大学進学,中断なく学習して学位取得,ドロップアウト率低い中等教育後のノンストレート進学や一時的就学停止(ストップアウト),ドロップアウトの増加入学期のおくれやストップアウト,成人・勤労学生の進学,職業経験者の再入学が激増
高等教育機関の特色同質性
(共通の高い基準をもった大学と専門分化した専門学校)
多様性
(多様なレベルの水準をもつ高等教育機関,総合制教育機関の増加)
極度の多様性
共通の一定水準の喪失スタンダードそのものの考え方が疑問視される
高等教育機関の規模学生数2000~3000人
(共通の学問共同体の成立)
学生・教職員総数3万~4万人
(共通の学問共同体であるよりは頭脳の都市)
学生数は無制限的
共通の学問共同体意識の消滅
社会と大学との境界明確な区分
閉じられた大学
相対的に希薄化
開かれた大学
境界区分の消滅
大学と社会との一体化
最終的な権力の所在と意思決定の主体小規模のエリート集団エリート集団+利益集団+政治集団一般公衆
学生の選抜原理中等教育での成績または試験による選抜(能力主義)能力主義+個人の教育機会の均等化原理万人のための教育保証集団としての達成水準の均等化
大学の管理者アマチュア大学人の兼任専任化した大学人+巨大な官僚スタッフ管理専門職
大学の内部運営形態長老教授による寡頭支配長老教授+若手教員や学生参加による”民主的”支配学内コンセンサスの崩壊?
学外者による支配?
M.トロウ「高学歴社会の大学」(天野郁夫、喜多村和之訳、東京大学出版会、1976)より喜多村和之が図表化
(M.トロウ「高度情報社会の大学」(喜多村和之編訳、玉川大学出版部、2000)の解説より引用)

追記(2014.1.29):喜多村和之氏の訃報

2013(H25)年12月25日にご逝去の報がありました(日本高等教育学会のお知らせで知る)。トロウ氏が2007(H19)年に死去されてしまっているので、現在も進行しているユニバーサル・アクセス化の大学教育の状況について、直接の議論をお聞きすることが叶わなくなりました。ご冥福をお祈りいたします。
前掲のM.トロウ「高度情報社会の大学」の解説には、「アメリカにおける高等教育の発展段階」として図表と、続く議論があります。続報に、要旨を抜粋し、紹介する。
http://ed-science.blogspot.jp/2014/01/trow-model-re-revisited.html

2013/10/23

11/7セミナーご案内:大学教育に求められること -私たちの これまで・いま・これから-

第6回e教育サロン勉強会 https://www.facebook.com/edusalon 

日時:2013年11月7日(木) 17時30分~19時
場所:e教育サロン(金沢大学先端科学・イノベーション推進機構)
テーマ:大学教育に求められること -私たちの これまで・いま・これから-
話題提供者:杉森公一准教授(大学教育開発・支援センター) 

概要:
 大学を取り巻く状況が変化を続けている。大学全入時代、就職状況の悪化、 大学数の量的増加と淘汰、大学ランキング、オンライン大学MOOCsの登場・・・ 「大学教育に求められること」の背景を読み解き、過去、現在、そして 将来の私たちの姿を見出すために、いくつかキーワードを解題しながら 議論の糸口としたい。

2013/10/18

10/28セミナーご案内:ICカード活用型レスポンスシステム「LENON」による反転教室(Flipped Classroom)

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第16回FD研究会

日時:2013年10月28日(月)15時00分~16時20分
場所:金沢大学角間キャンパス・総合教育1号館1階小会議室
テーマ:ICカード活用型レスポンスシステム「LENON」による反転教室(Flipped Classroom)
報告者:白嶋章 株式会社TERADA.LENON

趣旨:大学教育開発・支援センターでは、学生の発見を指向するクリッカーLENONの開発元であるTERADA.LENONとの新規の共同研究を開始する。研究のスタートアップとしてLENONシステムの概要と、特に医歯学教育でTBL(Team-Based Learning)活用事例を報告いただき、協調学習・アダブティブラーニング・ブレンディッドラーニングを用いた反転教室の実現の可能性を議論したい。

2013/10/17

10/30セミナーご案内:文科系向け科学リテラシー教育におけるアクティブラーニング型講義の実践 -ポータル/TA/クリッカー活用-

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第17回FD研究会・第22回学生・学習支援研究会 合同開催

日時:2013年10月30日(水)16時30分~18時00分
場所:金沢大学角間キャンパス・総合教育1号館2階大会議室
テーマ:文科系向け科学リテラシー教育におけるアクティブラーニング型講義の実践 -ポータル/TA/クリッカー活用-
報告者:守橋健二(筑波大学数理物質科学研究科・教授)

趣旨:『現代人のための統合科学―ビッグバンから生物多様性まで』(自然科学の進歩によって、素粒子の世界から宇宙の未来までの時空間が、知識の網によってすきまなく覆い尽くされようとしている。本書では、諸科学が紡ぎ出した糸で編んだ継ぎ目のない網としての現代科学の成果を、わかりやすく俯瞰。練習問題や基本的な用語の解説を含んだ、大学の教科書としても、また一般の読み物としても有益な科学のハンドブック。)を出版し、金沢大学共通教育科目に相当する「総合科目」にてクリッカー・ポータル等を活用されたユニークな科学リテラシー教育を実践している。筑波大学でのクリッカー活用型講義については、2012年8月中教審「質的転換」答申にも言及され、先駆的な取り組みとしても注目されている。今回は、大人数講義において双方向型の科学教育をどのように可能としているか実践事例を提供いただき、いま大学教育に求められる学生主体の能動的学びについて議論したい。

2013/10/11

10/23セミナーご案内:理系大学院における留学生に対する教育 -英語による個別指導を中心に-

大学コンソーシアム石川主催
2013年度 第1回FD・SD研修会 http://www.ucon-i.jp/fdsd/

日時:10月23日(水)17時30分~19時
会場:しいのき迎賓館 3階 セミナールームA
テーマ:理系大学院における留学生に対する教育 -英語による個別指導を中心に-
講師:島原秀登(北陸先端科学技術大学院大学ナノマテリアルテクノロジーセンター 助教 )

趣旨:科学的・経済的発展を日本に夢見る留学生は、勉学によって人生を切り開こうとする高い志をもっています。彼らの経験は、彼らの社会にとって有益となるだけでなく、日本社会に対してもまた計り知れない還元をもたらすため、私たちが彼らを適切に支援することは非常に重要です。しかし、そこで使われる言語を体系化することが今なお議論されており、その指導方法の確立が喫緊の課題です。講演者は理系大学院や大学機間である留学生日本語教育センターにおいてface-to-faceに個別指導を行った経験から、彼らとうまくコミュニケーションをとる簡便な手法・手段を紹介し、社会全体で彼らをサポートする雰囲気作りを提案します。

http://www.ucon-i.jp/newsite/pdf/1023fdsd.pdf

2013/08/22

8/27セミナーご案内:改めて考える高大連携

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第16回カリキュラム研究会

日時:2013年8月27日(火)8時30分~10時
場所:金沢大学角間キャンパス・総合教育1号館2階大会議室
題目:改めて考える高大連携
講師:坂詰貴司(芝中学高等学校教諭、大学教育開発・支援センター客員研究員)

趣旨:中教審の答申により高大連携が注目されてから月日が経ちました。その間、様々な議論や提言がされ、実現したこともいくつかあります。また、昨年からの動きで「秋入学」「4学期制」「センター試験の検討」など新しい要素が加わってきました。本発表では、これらのことを踏まえて、今までの検証をしたいと思います。そして原点 に立 ち戻り、様々な視点での提言を、参加者とともに考えていきたいと思います。なおオーストラリア・ビクトリア州の事例を参考にする予定です。

2013/08/08

アクティブ・エデュケーションへの教育デザイン


「主体的で能動的な学び」を求めた、「大学教育の質的転換」中教審答申では
学習の主体が、教師ではなく学生にあることを改めて強調するものだった。

この根拠の1つには、米NTLによる調査成果である半年後学習定着率の
ラーニング・ピラミッド(学習ピラミッド)
http://homepages.gold.ac.uk/polovina/learnpyramid/about.htm が
紹介されることが多い(上図)。私自身も研修・セミナー等で引用したことがある。
しかし、ラーニング・ピラミッドについては、出典があやふやではないかとの指摘があり
批判的に見る必要がある。(山本(2011)によると、もとになったダールの「経験の円錐」が転化したものである)

半世紀にわたって、ラーニング・ピラミッドが信じられてきた背景も無視はできない。
学生の能動的活動( = activity )を伴う学修、すなわちアクティブ・ラーニングが、
学習の定着を高めるだけでなく、質的充実に有効であるということは
社会的構成主義教育観、教育者中心から学習者中心へのパラダイム転換、
生涯教育のために自律的学習者の必要性、多方面から支持されている。

さて、
学生のアクティビティを高めるためにはどうしたらよいのだろうか。

大学教育では、90分×15回の講義計画について
授業設計=授業デザインと教授法・学習法を見直す必要があろう。

学習科学/科学教育/教育方法学の観点(キーワード)
・教育目標の設定、評価の方法と、学習目標→学習成果サイクルのアセスメント
・教育評価の3段階=診断的評価、形成的評価、総括的評価
・授業冒頭の小テストと、議論を巻き起こす「コンセプトテスト」の提示
・反転学習のように事前学習を促す仕掛けと、授業時間内での学生間相互作用の促進
 (自律的な時間外学習と、学生同士の学び合い)
・ミニッツペーパーによる授業後のリフレクション
・観点別評価(認知領域・情意領域・精神運動領域)のルーブリック

教育工学の先駆者、沼野一雄は、反転授業の登場とその対策までを予見し
教授工学の概念と、教授学習プロセスの設計に優れたテキストを遺している。
特に、情報化社会と教師の仕事(1986)を座右に置くことを強く、お薦めする。
社会の情報化がすすむにつれて、また、コンピュータを利用したニューメディアが学校に導入されるようになれば、学校や教師にはどのような役割を期待されるのか。子どもたちのために学校や教師は何をしなければならないのか。この問いは、1人ひとりの教師がその教育観あるいは人間観に基づいて答えるべき問いである。
しかし、その答えは単なる理想や信念の表明であってはならない。少なくとも子どもたちの学習指導に意欲を持ち、そのための努力を惜しまない多くの教師に、現実に期待できるものでなければならないだろう。
CAIをはじめ学校におけるコンピュータの利用に関する議論が華々しいわりには、この問いに対してはまだ十分な議論がなされているとは言えないのが実情である。

主観と経験の表明を乗り越えること。

教育哲学(子どもたちのために大学や教師は何をしなければならないのか)の
自覚と責任の上に、
学生の能動性を高める教授設計、教育デザインによる
アクティブ ・エデュケーションの創成を、私たちは目指しているのである。

参考

  1. 山本富美子, 明快で論理的な談話に見られる具体化・抽象化操作 ―Edgar DALEの「経験の円錐」の論理的認知プロセスをめぐって― アカデミック・ジャパニーズ・ジャーナル, 3, 67-77 (2011)
    http://academicjapanese.jp/dl/ajj/AJJ3_67-77.pdf
  2. デールの「学習のピラミッド」は「経験のピラミッド」が元。
    http://blog.livedoor.jp/garjyusaiga/archives/52215131.html 2011.9.25
  3. 土田耕治, ラーニングピラミッドの誤謬
    http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03280_03 週刊医学界新聞 vol.3280, 2018.7.9

8/27セミナーご案内:改めて考える高大連携

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第16回カリキュラム研究会

日時:2013年8月27日(火)8時30分~10時
場所:金沢大学角間キャンパス 総合教育1号館2階大会議室
講師:坂詰貴司(芝中学高等学校教諭、金沢大学大学教育開発・支援センター客員研究員) 

趣旨:中教審の答申により高大連携が注目されてから月日が経ちました。その間、様々な議論や提言がされ、実現したこともいくつかあります。また、昨年からの動きで「秋入学」「4学期制」「センター試験の検討」など新しい要素が加わってきました。本発表では、これらのことを踏まえて、今までの検証をしたいと思います。そして原点に立ち戻り、様々な視点での提言を、参加者とともに考えていきたいと思います。なおオーストラリア・ビクトリア州の事例を参考にする予定です。

2013/07/30

8/5セミナーご案内:高校における生徒の学習意欲向上の取組―共同研究「学習意欲を高める授業科目が教育成果全般に及ぼす影響とその評価」の成果として―

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第15回FD研究会・第21回学生・学習支援研究会 合同開催

日時:2013年8月5日(月)16時30分~18時00分
場所:金沢大学角間キャンパス 総合教育1号館2階大会議室
報告者:松田淑子(福井大学教育地域科学部・教授)

趣旨:昨年8月28日、文部科学大臣より中央教育審議会に対し、「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」が諮問され、これを受けて高大接続特別部会が設置され、審議が行われている。同日の「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)」において、大学それ自体の教育の質的転換のためには、高校教育との接続・連携がこれまで以上に求められるとの認識が示されたからである。  当センターでは、前年度まで5年間、科研費による助成を得ての研究、「学習意欲を高める授業科目が教育成果全般に及ぼす影響とその評価」(研究代表者:青野透)を行ってきた。その中で、高校教育における学習意欲を高める取組に優れたものがあることを学ぶことができた。今回の研究会では、研究分担者として「探究基礎」科目による京都市立堀川高等学校への訪問調査などをしていただいた松田淑子福井大学教授に、高校における先進的取り組みをご紹介いただく。なお、松田教授は既に、「『総合的な学習の時間』と高大接続」『週刊教育資料』1342号(2012年6月)などにおいて関連報告をご発表済みである。  生徒・学生主体の学びとそれに対する切れ目のない学習支援こそが学習意欲の持続につながると思われる。報告と質疑応答により、高校教育および大学教育にとっての望ましい高大接続について考察を深めたい。

2013/07/19

7/30セミナーご案内:語学に特化した「学生による授業評価アンケート」の集計結果

金沢大学 大学教育開発・支援センター、外国語教育研究センター 共催
第14回FD研究会

日時 : 7月30日(火)14:45~16:15
場所 : 金沢大学角間キャンパス・総合教育1号館(2F)会議室
タイトル: 語学に特化した「学生による授業評価アンケート」の集計結果
報告者: 小林 恵美子(外国語教育研究センター) 杉村 安幾子(外国語教育研究センター) 

要旨:
外国語教育研究センターでは、本学の教育の質の向上を目指すFD活動の一環として、語学に特化した「学生による授業評価アンケート」を平成24年後期に実施しました。本研究会では、英語科目と初習言語科目に分けて集計結果を報告します。その結果に基づき、学生の授業の受け止め方(意識)を把握し、今後の授業改善点、さらには改善を支援するために共通教育機構および大学が整備しなくてはならない教育環境や制度について議論したいと思います。

2013/06/29

7/12セミナーご案内:大学生の学習と時間―分析事例の紹介と課題の検討―

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第13回FD研究会・第20回学生・学習支援研究会 合同開催

日時:2013年7月12日(金)17時30分~19時00分
場所:金沢大学角間キャンパス 総合教育1号館2階大会議室
テーマ:「大学生の学習と時間―分析事例の紹介と課題の検討―」
報告者:谷村 英洋 立教大学大学教育開発・支援センター(学術調査員)

趣旨:中教審答申などで繰り返し指摘されている日本の学生の学習時間の短さについて、実証的研究成果を目にすることはあまりない。今回は、学術創成科研「高等教育グランドデザイン策定のための基礎的調査分析」(研究代表者 金子元久)の成果の一部として、「大学の教員が想定している授業外学習の時間」(『大学教育学会誌』第32巻第2号、2010年11月、87-94頁)等を発表された谷村氏を講師にお招きした。上記科研により実施された大規模調査の結果によるデータベースを活用し、従来抽象的な議論にとどまりがちであった学生の学習実態について、現状の分析と課題そして、課題解決に向けた具体的提言を含んだこの論文により、谷村氏は本年度の大学教育学会奨励賞を受賞されている。喫緊の課題である教育の質保証における重要なテーマとして、厳格な成績評価と結びつく単位制度のもとにおける授業外学習時間について、ご報告にもとづき、考察を深めていきたい。

2013/06/27

7/5セミナーご案内:相互評価を取り入れたライティング能力育成の試み-双方向授業のさらなる発展を目指して-

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第12回FD研究会・第19回学生・学習支援研究会 合同開催

日時:7月5日(金)16時30分~18時00分
場所:金沢大学角間キャンパス総合教育1号館2階大会議室
テーマ:「相互評価を取り入れたライティング能力育成の試み-双方向授業のさらなる発展を目指して-」
報告者:末本 哲雄(大分大学 高等教育開発センター講師)
指定発言者:久保田 進一(金沢大学 大学教育開発・支援センター 特任助教)

趣旨:大学教育において、双方向授業を行うことが重要であることはいうまでもない。既に、教員と学生間での双方向性を意識した教室内での授業改善はかなり普及してきている。今回は、大分大学高等教育開発センターの末本講師に、授業外の学生の学び合いを促進する試みを取り入れた授業実践を紹介していただく。具体的には、本学のポータルにも組み込まれているWebClassの新機能(本学は未導入)を活用した、受講生たちの相互学習の授業実践について、複数の科目における事例紹介となる。講師のご報告に基づき、授業をどのようにすれば学生たちの成長の実感が伴う学習成果に結び付けていくことができるのかについて、参加者一同で考えていきたい。

2013/06/18

6/25セミナーご案内:医療・保健系大学における初年次導入教育・リメディアル教育の実践と展望

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第11回FD研究会・第12回評価システム研究会 合同開催

日時:6月25日(火)16時30分~18時00分
場所:金沢大学角間キャンパス総合教育1号館1階小会議室
テーマ:「医療・保健系大学における初年次導入教育・リメディアル教育の実践と展望」
報告者:杉森公一(金沢大学大学教育開発・支援センター・准教授) 

趣旨:「医療・保健系大学においては、卒業時に国家試験合格が必須であるため、専門教育への接続のために入学前後から初年次にかけての早期からの基礎固めが求められる。今回は、生物学の自習用教材を用いた入学前準備学習とその成果把握、入学時プレースメントテストによる学力の推移のような学部レベルでの機関調査(IR)活動によって、入学直後からの動機付けを高める工夫についての実践例を報告し、初年次導入教育・リメディアル教育の展望について議論する。」

2013/05/13

5/14セミナーご案内:授業におけるわかりやすい説明とは?―認知心理学から考える―


金沢大学 大学教育開発・支援センター
第10回FD研究会・第11回評価システム研究会 合同開催

日時:5月14日(火)16時30分~18時00分
場所:金沢大学角間キャンパス総合教育1号館2階大会議室
テーマ:「授業におけるわかりやすい説明とは?―認知心理学から考える―」
報告者:島田英昭(信州大学教育学部・准教授)

趣旨:「授業におけるわかりやすい説明」が求められているが、どのようにすればそれを実現できるのか、手がかりがつかめないという声がある。今回は、認知心理学を手がかりに、学生の頭の中で行われている情報処理のプロセスを明らかにして、わかりやすさについて考えてみたい。具体的には、情報処理の容量限界、既有知識の影響、知覚的特性について、簡単な心理実験のデモンストレーションをしながら説明し、議論する。



2013/03/05

rung of a ladder ハシゴの格(こ)


up and down the ladder / Robert Couse-Baker

 (大学における)教育とは、何か? 学びとは、何か?

 初等・中等教育で実践にあたっておられる先生方の知恵を借りながら
これからの「小中高大連携」を模索したい。
すべての学校種で立ち上がっている、子どもたちの学びに連続性を持たせることを
議論し実践する段階に、私たちは並んでいるように思う。

教師にとっての大学教育とは何かを、位置づけるとき
濱名篤・山田礼子らの言う「初年次教育」の視点はヒントになる。
(たとえばJASSO「大学と学生」2008年5月号の特集 文献1,2 に詳しい。)

しかし、教師自身が受けてきた小中高大での教育がどのようなものであったのか、
矯正や訓練の思想、または受験戦争のもとで知識偏重であったような
一方通行の講義形式に依っていたのならば
大学と学生の現在置かれている状況への対応は、困難を極める。

さらに、教育か研究かの二元論で論じることでもなく、
故マーティン・トロウの提唱したエリート→マス→ユニバーサルの
大学モデルでいうところの最終段階に、
いま、まさに到達していることを自覚しなくてはならないだろう。

では、私たちは教育とその哲学をどこに位置付けたらよいのであろうか。

大学教育におけるリメディアル教育・初年次教育・学修支援の位置づけ

これまでの大学では、選抜された学生(トロウモデルでのエリート段階)に対し、
対等あるいは師弟関係を基盤にした「徒弟的」関係の中で
教育・研究が展開されてきた。
現状あるいは今後は、多様な質と能力の学生を受け入れる
マス~ユニバーサル段階の移行期にある。

「学生のなりたい姿」を見出し、学習を支援する第一歩に大学初年次における
導入教育と学修支援が位置付けられる。

教育の梯子

いま、上ろうとするハシゴがある。
ただし、最初の何段かが抜けていることに学生は気付かない。

「懸垂」のような状態でもがいている彼らに、知識・技術・行動としての適切な
ハシゴの格(こ)を入れ、学び方(上り方)を共に探し、
そして彼ら自身が主体的に高みを目指すことを援助、支援したい。

参考文献

1. 濱名篤、初年次教育の必要性と可能性、大学と教育、2008 (pdf)
2. 山田礼子、初年次教育の歴史と理論、大学と教育、2008 (pdf)
3. 山本以和子、大学から見た『大学改革の概説』、ベネッセ教育研究開発センター、2002

2013/02/08

魔法の言葉


I believe in you / ckubber
 

学生の「主体的・能動的な学び」が、大学改革のバズワードとなっている。
アクティブ・ラーニングとも総称されている。

今度は、小学校時代の恩師を訪ね、初等教育の現場と
生活科・社会科・総合的な学習の時間での実践を追いかけた。
(ただし、具体的な事例は詳細に述べない)

主体的な学びとは

主体的な学びを進めるには、こどもの力を信じること、
教員が教科(指導要領)の枠内ではない、本物(学問と文化)を知り伝える、
努力を惜しまないことにあると考える。
教師も、児童・生徒・学生と同じく、学究の徒として学び続ける力を持つこと。

小学校「歴史」と総合的な学習の時間の教育実践では、
実社会に近い課題設定をした重点単元で、調べ学習を行った結果
「生徒が教師を追い抜く」生徒の成長する姿が現れたという。
科学教育の用語での「真正の評価」であり、教師のファシリテーションの成果、
ピア・インストラクションの実例でもある。

これが、10年前に小学校で実現されてきた
主体的に学ぶ教室のイメージだとすれば、
大学教育でのアクティブ・ラーニングのスタートは、あまりに遅い。

魔法の言葉を持つ

私の授業を振り返ってみる。
授業冒頭には発問し、一人ひとりに「問い」を投げかける。
言葉にならなければ、彼らの私語を頻繁に拾い上げて、生まれた気づきに
「素晴らしい」
「よく考えているね」
と応答することを繰り返す。

大人数講義でも1対1の関係を成立させる魔法の言葉は、
彼ら学生の学びへの敬意を表明することであり、彼らの善なる意図を肯定することだ、
と信じる。

教授から学修へ、ラーニング・パラダイムの転換期に我々は立っている。

教室の創造、大学の創造

「『学生』の将来なりたい自分」を主語に、これを支援し導き、
4年間の一人ひとりのサクセスストーリーをつくる「場」を
活きたシステムとしてつくりたい。つくらねばならない。

そのモデルの基礎と教育哲学を持ち得る1つの方法は、
小中高大の恩師と私のストーリーを言語化し一般化する試みではないかと
考える。
自らが受けてきたスーパービジョンの振り返りに、さらに加わるのは、
私が支援にあたって卒業していった学生一人ひとりのストーリーである。

学生が変われば、自ずと教育の質に向き合うという
自生的な教育力が、すべての大学に備わっていることを心から願う。

関連

1. 青野透、アクティブ・ラーニングのためのアクティブ・ティーチング、金沢大学大学教育開発・支援センター・センターニュース No.438、2013
... 加えるならば、能動的な学びのための、アクティブ・エデュケーションが求められると考えます。