2013/02/08

魔法の言葉


I believe in you / ckubber
 

学生の「主体的・能動的な学び」が、大学改革のバズワードとなっている。
アクティブ・ラーニングとも総称されている。

今度は、小学校時代の恩師を訪ね、初等教育の現場と
生活科・社会科・総合的な学習の時間での実践を追いかけた。
(ただし、具体的な事例は詳細に述べない)

主体的な学びとは

主体的な学びを進めるには、こどもの力を信じること、
教員が教科(指導要領)の枠内ではない、本物(学問と文化)を知り伝える、
努力を惜しまないことにあると考える。
教師も、児童・生徒・学生と同じく、学究の徒として学び続ける力を持つこと。

小学校「歴史」と総合的な学習の時間の教育実践では、
実社会に近い課題設定をした重点単元で、調べ学習を行った結果
「生徒が教師を追い抜く」生徒の成長する姿が現れたという。
科学教育の用語での「真正の評価」であり、教師のファシリテーションの成果、
ピア・インストラクションの実例でもある。

これが、10年前に小学校で実現されてきた
主体的に学ぶ教室のイメージだとすれば、
大学教育でのアクティブ・ラーニングのスタートは、あまりに遅い。

魔法の言葉を持つ

私の授業を振り返ってみる。
授業冒頭には発問し、一人ひとりに「問い」を投げかける。
言葉にならなければ、彼らの私語を頻繁に拾い上げて、生まれた気づきに
「素晴らしい」
「よく考えているね」
と応答することを繰り返す。

大人数講義でも1対1の関係を成立させる魔法の言葉は、
彼ら学生の学びへの敬意を表明することであり、彼らの善なる意図を肯定することだ、
と信じる。

教授から学修へ、ラーニング・パラダイムの転換期に我々は立っている。

教室の創造、大学の創造

「『学生』の将来なりたい自分」を主語に、これを支援し導き、
4年間の一人ひとりのサクセスストーリーをつくる「場」を
活きたシステムとしてつくりたい。つくらねばならない。

そのモデルの基礎と教育哲学を持ち得る1つの方法は、
小中高大の恩師と私のストーリーを言語化し一般化する試みではないかと
考える。
自らが受けてきたスーパービジョンの振り返りに、さらに加わるのは、
私が支援にあたって卒業していった学生一人ひとりのストーリーである。

学生が変われば、自ずと教育の質に向き合うという
自生的な教育力が、すべての大学に備わっていることを心から願う。

関連

1. 青野透、アクティブ・ラーニングのためのアクティブ・ティーチング、金沢大学大学教育開発・支援センター・センターニュース No.438、2013
... 加えるならば、能動的な学びのための、アクティブ・エデュケーションが求められると考えます。