2013/03/05

rung of a ladder ハシゴの格(こ)


up and down the ladder / Robert Couse-Baker

 (大学における)教育とは、何か? 学びとは、何か?

 初等・中等教育で実践にあたっておられる先生方の知恵を借りながら
これからの「小中高大連携」を模索したい。
すべての学校種で立ち上がっている、子どもたちの学びに連続性を持たせることを
議論し実践する段階に、私たちは並んでいるように思う。

教師にとっての大学教育とは何かを、位置づけるとき
濱名篤・山田礼子らの言う「初年次教育」の視点はヒントになる。
(たとえばJASSO「大学と学生」2008年5月号の特集 文献1,2 に詳しい。)

しかし、教師自身が受けてきた小中高大での教育がどのようなものであったのか、
矯正や訓練の思想、または受験戦争のもとで知識偏重であったような
一方通行の講義形式に依っていたのならば
大学と学生の現在置かれている状況への対応は、困難を極める。

さらに、教育か研究かの二元論で論じることでもなく、
故マーティン・トロウの提唱したエリート→マス→ユニバーサルの
大学モデルでいうところの最終段階に、
いま、まさに到達していることを自覚しなくてはならないだろう。

では、私たちは教育とその哲学をどこに位置付けたらよいのであろうか。

大学教育におけるリメディアル教育・初年次教育・学修支援の位置づけ

これまでの大学では、選抜された学生(トロウモデルでのエリート段階)に対し、
対等あるいは師弟関係を基盤にした「徒弟的」関係の中で
教育・研究が展開されてきた。
現状あるいは今後は、多様な質と能力の学生を受け入れる
マス~ユニバーサル段階の移行期にある。

「学生のなりたい姿」を見出し、学習を支援する第一歩に大学初年次における
導入教育と学修支援が位置付けられる。

教育の梯子

いま、上ろうとするハシゴがある。
ただし、最初の何段かが抜けていることに学生は気付かない。

「懸垂」のような状態でもがいている彼らに、知識・技術・行動としての適切な
ハシゴの格(こ)を入れ、学び方(上り方)を共に探し、
そして彼ら自身が主体的に高みを目指すことを援助、支援したい。

参考文献

1. 濱名篤、初年次教育の必要性と可能性、大学と教育、2008 (pdf)
2. 山田礼子、初年次教育の歴史と理論、大学と教育、2008 (pdf)
3. 山本以和子、大学から見た『大学改革の概説』、ベネッセ教育研究開発センター、2002