2013/11/26

12/4セミナーご案内:第2回若手教員授業研究会

大学コンソーシアム石川
第2回若手教員授業研究会

日時:2013年12月4日(水)18時30分~20時30分 (18:00受付開始)
場所:金沢大学サテライト・プラザ 2階講義室

趣旨:FD研修等を通じて教育能力の開発のために様々な情報を得ることができますが、大学教育に関わるようになって10年以内の教員のフォローアップと手を取り合っての連携が、まだまだ必要ではないでしょうか。学生のことも授業のこともさらに学び、教育・研究に携わる者としての教育哲学・研究哲学を研鑽し成長を続けることが求められています。特に、授業をどうするのかについて、大学の枠を超えて教育学・学習科学・専門分野の知恵を持ち寄り、語り合い学び合う「場」が、私たちの教育力の支えになればと願います。
詳細:http://ks-edu.w3.kanazawa-u.ac.jp/wakate/

2013/11/25

11/29セミナーご案内:大学教育の現状~複数の大学を経験して~

e教育サロン第2回シンポジウム https://www.facebook.com/edusalon
大学教育の現状 ~複数の大学を経験して~

日時:2013年11月29日(金)13時30分~17時30分
場所:金沢大学総合メディア基盤センター2階 プレゼンテーション室

○基調講演「金沢大学に期待するもの」  
[講師]金川克子先生(いしかわ在宅支援ねっと理事長、神戸市看護大学前学長、石川県立看護大学初代学長) 
 大学の役割は教育・研究・地域貢献・学内運営、と言われていますが、国公私立では違いがあると思われます。金沢大学は石川県の唯一の国立大学であり、総合大学としてまずは県内の大学をリ−ドし、県民の誇りとする大学であってほしいと思います。  角間に移転した後、足を運ぶことが少なくなりましたが、広大な敷地を有しており、多様な建造物の増加や活動が活発にできるとことと思いますが、やや不便さも感じています。いくつかの大学に触れる中で、金沢大学に期待したいことを、一市民として述べてみたいと思います。

 ○パネルディスカッション:「大学教育の現状 ~複数の大学を経験して~」
[パネリスト]
・猪部学先生(金沢大学医薬保健研究域、前北海道大学)
・海野進先生(金沢大学理工研究域、前静岡大学)
・杉森公一先生(金沢大学大学教育開発・支援センター、前金城大学)
・本間学先生(金沢大学人間社会研究域、前帝塚山大学)
[モデレーター] 鈴木健之先生(元金沢大学)

詳細:https://www.facebook.com/events/227730644052393/

2013/11/21

11/22セミナーご案内:クリティカルシンキングの評価と育成

金沢大学 大学教育開発・支援センター
第13回評価システム研究会

日時:2013年11月22日(金)16時30分~18時00分
場所:金沢大学角間キャンパス・総合教育1号館2階大会議室
題目:クリティカルシンキングの評価と育成
講師:久保田祐歌 (愛知教育大学 教育創造開発機構 大学教育研究センター 研究員)

趣旨:大学生のクリティカルシンキングを評価するための標準テスト(主に米国で開発)を紹介する。テストで評価される「クリティカルシンキング」の内容と共に、その育成方法にも言及する。

2013/11/05

Trow model revisited トロウ・モデル再考

文部科学省から平成25年度学校基本調査の速報が公表されている。

高等学校卒業者の進学率は、

1)大学・短大進学率(現役)   53.2%
2)大学(学部)進学率(現役) 47.4%
3)専門学校進学率(現役)    17.0%
4)大学・短大進学率(過年度卒含む)  55.1%
5)大学(学部)進学率(過年度卒含む) 49.9%
6)高等教育機関進学率(過年度卒含む) 77.9%

と、依然高い進学比率を維持している。後戻りすることは、しばらく無いだろうし、小中高大接続の議論は、社会との接続問題として整理する必要がある。

マーティン・トロウが予言し、喜多村和之が整理した「トロウ=喜多村・モデル※」が、今日の時代そのものであることに驚く。該当する社会(例)の項目のみ、ユニバーサル・アクセス型に移す修正を施した。他の諸国についても、2013年段階では移動があると思われるので、随時修正する。

赤字は、筆者によるものだが、トロウの予言は概ね実現されたと考えるし、さらにその先の「ユニバーサル・アテンダンス」の状況を見通した教育活動が必要であろう。


※トロウ・モデル
http://benesse.jp/berd/center/open/report/yamamoto/2002/iituka_04_02.html

M.トロウによる高等教育システムの段階的移行に伴う変化の図式
高等教育システムの段階
エリート型        →
マス型         →
ユニバーサル・アクセス型
全体規模(該当年齢人口に占める大学在籍率)15%まで15%~50%まで50%以上
該当する社会(例)イギリス・多くの西欧諸国日本・カナダ・スウェーデン等アメリカ合衆国・日本
高等教育の機会少数者の特権相対的多数者の権利万人の義務
大学進学の要件制約的(家柄や才能)準制約的(一定の制度化された資格)開放的(個人の選択意思
高等教育の目的観人間形成・社会化知識・技能の伝達新しい広い経験の提供
高等教育の主要機能エリート・支配階級の精神や性格の形成専門分化したエリート養成+社会の指導者層の育成産業社会に適応しうる全国民の育成
教育課程(カリキュラム)高度に構造化(剛構造的)構造化+弾力化(柔構造的)非構造的(段階的学習方式の崩壊
主要な教育方法・手段個人指導・師弟関係重視のチューター制・ゼミナール制非個別的な多人数講義+補助的ゼミ,パートタイム型・サンドイッチ型コース通信・TV・コンピュータ・教育機器等の活用
学生の進学・就学パターン中等教育修了後ストレートに大学進学,中断なく学習して学位取得,ドロップアウト率低い中等教育後のノンストレート進学や一時的就学停止(ストップアウト),ドロップアウトの増加入学期のおくれやストップアウト,成人・勤労学生の進学,職業経験者の再入学が激増
高等教育機関の特色同質性
(共通の高い基準をもった大学と専門分化した専門学校)
多様性
(多様なレベルの水準をもつ高等教育機関,総合制教育機関の増加)
極度の多様性
共通の一定水準の喪失スタンダードそのものの考え方が疑問視される
高等教育機関の規模学生数2000~3000人
(共通の学問共同体の成立)
学生・教職員総数3万~4万人
(共通の学問共同体であるよりは頭脳の都市)
学生数は無制限的
共通の学問共同体意識の消滅
社会と大学との境界明確な区分
閉じられた大学
相対的に希薄化
開かれた大学
境界区分の消滅
大学と社会との一体化
最終的な権力の所在と意思決定の主体小規模のエリート集団エリート集団+利益集団+政治集団一般公衆
学生の選抜原理中等教育での成績または試験による選抜(能力主義)能力主義+個人の教育機会の均等化原理万人のための教育保証集団としての達成水準の均等化
大学の管理者アマチュア大学人の兼任専任化した大学人+巨大な官僚スタッフ管理専門職
大学の内部運営形態長老教授による寡頭支配長老教授+若手教員や学生参加による”民主的”支配学内コンセンサスの崩壊?
学外者による支配?
M.トロウ「高学歴社会の大学」(天野郁夫、喜多村和之訳、東京大学出版会、1976)より喜多村和之が図表化
(M.トロウ「高度情報社会の大学」(喜多村和之編訳、玉川大学出版部、2000)の解説より引用)

追記(2014.1.29):喜多村和之氏の訃報

2013(H25)年12月25日にご逝去の報がありました(日本高等教育学会のお知らせで知る)。トロウ氏が2007(H19)年に死去されてしまっているので、現在も進行しているユニバーサル・アクセス化の大学教育の状況について、直接の議論をお聞きすることが叶わなくなりました。ご冥福をお祈りいたします。
前掲のM.トロウ「高度情報社会の大学」の解説には、「アメリカにおける高等教育の発展段階」として図表と、続く議論があります。続報に、要旨を抜粋し、紹介する。
http://ed-science.blogspot.jp/2014/01/trow-model-re-revisited.html