2015/11/18

学習支援を構成する条件

大学教育における学習支援は、カリキュラムの提供を超えた広がりを持ってきた。

  • 物理的環境(ハードウェア)
  • 人的環境(ヒューマンウェア)
  • 教育技術と学術・教科内容(広義のソフトウェアとナレッジ、リソース)
  • などに要素分解できよう。

    大学の知の集積の中心として、大学図書館は欠かせないものであるが、その物理的環境は、書架と閲覧スペースだけにとどまらずに、ラーニング・コモンズとしての機能を併せ持つように変容を遂げている。

    科学技術・学術審議会 学術分科会 研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会による審議まとめ(平成22年12月)「大学図書館の整備について(審議のまとめ)-変革する大学にあって求められる大学図書館像-」 同 用語集では、
    http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/attach/1301655.htm
    ラーニング・コモンズ
    ・・・複数の学生が集まって、電子情報も印刷物も含めた様々な情報資源から得られる情報を用いて議論を進めていく学習スタイルを可能にする「場」を提供するもの。その際、コンピュータ設備や印刷物を提供するだけでなく、それらを使った学生の自学自習を支援する図書館職員によるサービスも提供する。
    と定義され、学習支援への直接の関与の一例として挙げられている。文科省が毎年行っている「大学における教育内容等の改革状況について」のデータを追いかけると、ラーニング・コモンズの整備・活用を行っている大学数は、増加傾向にある。
    まとめ(平成25年度):http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigaku/04052801/1361916.htm
    概要(平成25年度):http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigaku/04052801/__icsFiles/afieldfile/2015/10/21/1361916_1.pdf



    呑海沙織、溝上智恵子「北米の大学図書館における学習支援空間の歴史的変容-ブリティッシュ・コロンビア大学の事例から」 カナダ教育研究 8, 1-17 (2008) http://hdl.handle.net/2241/106837 が、ラーニング・コモンズの9つの構成要素(McMullen2008)を紹介している。文科省調査の状況と照らし合わせて、各大学がこの要素をどう満たしているか、差分から見えることもあるだろう。
    1) コンピュータ群 (computer workstation clusters)
    2) サービス・デスク
    3) 共同学習スペース
    4) プレゼンテーション支援センター
    5) 教育支援センター (instructional technology centres for faculty development)
    6) デジタル機器を備えた教室
    7) ライティング支援センター
    8) ミーティングやセミナ一、レセプション、その他の文化的イベントを開催するためのスペース
    9) カフェ、ラウンジ

    さて、これらを兼ね備えた学習支援の拠点あるいはサテライトのつながりを、デザインすることができるかどうかにも、大学における学習の価値が問われてこよう。

    2015/11/06

    11/25セミナーご案内:平成27年度第3回大学コンソーシアム石川FDSD研修会 「地域での学び」を高める工夫~プログラム設計と評価の実践に学ぶ~

    平成27年度 第3回大学コンソーシアム石川FDSD研修会
    (「地域で学ぶ、地域と学ぶ」第8回)
    「地域での学び」を高める工夫~プログラム設計と評価の実践に学ぶ~

    日時:平成27年11月25日(水)18:30~20:30
    主催:大学間連携共同教育推進事業、大学コンソーシアム石川教職員研修専門部会
    会場:金沢星稜大学本館 4階 大会議室
    対象者:高等教育機関教員 及び 関心のある方
    参加費:無料
    定員:30名

    趣旨:
    「地域社会の中での実践的な学び」に対する期待と注目が寄せられている。 地域での実践活動が学習効果を高めるために、どのような工夫が求められる であろうか。教員はどのようなことを意識すべきであろうか。 今回の研修会では、特に①プログラムの設計及び評価の工夫、②実施によ る学生の成長度合い、という2つの観点について、具体的な実践事例に学び ながら理解を深めていきたい。

    開会挨拶
    金沢星稜大学経済学部教授 本康 宏史
    (大学間連携共同教育推進事業 地域連携グループ座長)

    1.地域連携プログラム活動実践報告(プログラム設計の工夫)各15分
    報告① 講師:金沢星稜大学人間科学部教授 池田 幸應
    報告② 講師:石川県立看護大学看護学部教授 川島 和代

    2.ルーブリックによる評価実践報告(プログラム評価の工夫)各15分 
    報告① 講師:金沢星稜大学人間科学部講師 西村 貴之
    報告② 講師:金城大学短期大学部ビジネス実務学科教授 矢澤 建明 金城大学短期大学部ビジネス実務学科准教授 若月 博延

    3.事例報告者間でのクロストークセッション(15分)
    進行:金沢大学大学教育開発・支援センター 准教授 杉森 公一

    4.グループに分かれてラウンドテーブルディスカッション(30分) 
    進行:金沢大学大学教育開発・支援センター 准教授 杉森 公一

    閉会挨拶
    金沢大学大学教育開発・支援センター教授 西山 宣昭
    (大学コンソーシアム石川 教職員研修専門部会長)

    申込み・問い合わせ先:大学コンソーシアム石川事務局 大学間連携共同教育推進事業(担当:西尾) nishio(at)ucon-i.jp